『ディー・ヴェルト』紙 2002年3月15日(金)

「候補国は2004年までにEU加盟を果たすだろう」

ギュンター・フェアホイゲンEU拡大担当委員は、数多くの問題にもかかわらず、合意された拡大予定年を確実と考える

『ヴェルト』:
すべての加盟候補国の首脳がバルセロナのEU首脳会議に招待されました。これは、EUが拡大のタイムスケジュールを守るというシグナルでしょうか?

フェアホイゲン:
この招待は、もはや誰もが大規模のEU拡大が失敗する可能性を考えていないことのしるしです。政治的にはレールは敷かれており、拡大は近づいています。バルセロナへの招待状は、タイムスケジュールとは直接的には何の関係もありません。しかし、拡大が予定どおり進行すると予測していなかったら、将来の経済的および社会政治的課題に関する討議に、将来のパートナーを今の時点で参加させることはなかったでしょう。

『ヴェルト』:
欧州委員会は農業政策と構造政策という難しい交渉分野について提案を行いました。しかし加盟候補国での反響は必ずしも好ましいものではありませんでしたが?

フェアホイゲン:
当初はたしかに憤慨した反応や、いくぶん声高な反応がありました。しかし欧州委員会の提案が実際は可能性の限界であり、いくつかの現加盟国では抵抗にあっていることが明らかになるにつれ、候補国の姿勢も穏やかになってきました。現在ではすべての候補国が、この包括提案が尊重されねばならず、個々の要素を、たとえば農業への直接補助金の支給など、部分的に取り出して、全体をはかる基準にしてはならないということを理解しています。

『ヴェルト』:
とりわけいわゆるEU実質負担諸国の財務大臣が委員会提案に対して唱えた異議を、どのように考えていますか。彼らは委員会の査定額に対し、拡大コストを最大で75億ユーロ削減するよう主張していますね。

フェアホイゲン:
同僚のミヒャエレ・シュライヤー欧州委員と私はこの異議を反駁することができたと思います。もちろん反論の最大の論拠は、3人の財務大臣の求めた要求がすべての新規加盟国を最初から実質負担国にしてしまうという点です。もし最貧の加盟国が豊かな加盟国のために支払わねばならないとしたら、実際これほど倒錯的な結果はありません。もちろん私は財務相理事会でも質問しました。同じ額でベルリンで想定した6ヶ国のみの加盟どころか、10ヶ国の拡大が負担できるというのに、どうしてベルリンの決定に今になって疑義が唱えられるのかと。6ヶ国なら予定額は結構だが、10ヶ国では多すぎるとでもいうのでしょうか?何の論理もありません。私の予測では、交渉の最終結論は委員会提案にごくごく近い額になると思われます。

『ヴェルト』:
2002年に加盟交渉を完了し、2004年に新規加盟国として欧州議会選挙に参加という、EUのタイムスケジュールは守ることができるのでしょうか。

フェアホイゲン:
私たちは、首脳会議で2004年加盟の候補国に挙げられた10ヶ国との間で、スペインのEU議長国任期中にもすべての交渉事項を完了するつもりです。そうなれば最終段階に残るのは財政案だけということになります。私はリスクについて口をつぐんだことはありません。たとえば私たちはまだ個々の候補国に関して、その国が加盟後もすべてのEU法を適用し貫くことができるかという疑問に答える必要があります。これは10月まで待たねばなりませんが、その際にはすべての国に厳しい基準が適用されます。そのほかにも、絶えず減少しているとはいえ、純粋に政治的な不確定要素がなお存在します。タイムスケジュールが守れる確率はきわめて高いでしょう。しかしまだ誰にも保証はありません。今の段階に至っても、どんな遅延戦略であれ、危険な制御不能の影響を及ぼすことでしょう。イェーテボリとラーケンのEU首脳会議‐いずれも2001年‐は、そのような政治的要因を作り出し、意図的な遅延により拡大計画全体が危機に瀕すのではないかとの具体的な懸念を呼び起こしました。あえて言いますが、もし意識的に遅延していると私たちが非難されるようなことがあれば、私たちはバルト海と黒海にはさまれた全地域の政治的・経済的安定という大きな利益を危険にさらすことになるでしょう。

質問者はアンドレーアス・ミッデル

原題:"Die Kandidaten werden bis 2004 der EU beitreten"
EU-Erweiterungskommissar Guenter Verheugen haelt das vereinbarte Jahr der Erweiterung fuer sicher - trotz zahlreicher Probleme